「自己破産」について
自己破産は、司法書士や弁護士にお任せでは出来ません。必要書類の収集、一定の書面への記載、情報提供を依頼人が行う必要があります。業務の遂行には、
依頼人の積極的かつ迅速な協力が必須です。
本ページは更新を停止しており、最新の情報を反映していない場合があります。情報の利用は自己責任でお願いします。
自己破産の報酬の支払いが困難な方へ。
「法テラス」では、
「法律扶助」の制度があります。法律扶助とは、一定の要件を満たす方について、報酬の支払いについて立て替え払いをしてもらえる制度です。通常、立て替え費用は分割で支払っていくことになります。ご事情によっては、立て替え費用の償還を免除される場合もあります。
法律扶助の詳しくは法テラスにお問い合わせ下さい。
ご家族に内緒で自己破産はできるのか?
「自己破産することを家族に絶対に内緒にしたい」と言われる方もいらっしゃいます。任意整理、過払い金返還請求はご家族や職場に内緒でも承ることができます。但し、自己破産や個人再生といった法的整理の場合はご家族に内緒の状態で依頼を承ることは
「できません」。
理由としては、手続き上においてご家族の理解が必要であり、事実上、知られずにおくことが困難だからです。。また、自己破産や個人再生後の生活状況には家族の支援も欠かせません。私の知る限りの司法書士や弁護士はもちろんですが、多くの司法書士や弁護士は家族に内緒での自己破産や個人再生の依頼をむやみにお受けすることはないであろうと思います。少なくともご家族に話して理解を得るべきことを勧めるでしょう。
自己破産の手続きの流れ(同時破産廃止)
必要書類の収集 |
ポイント |
事情に応じて様々な書類が必要です。 |
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自己破産の申し立て |
ポイント |
追加の書類を裁判所より指示された場合は提出。 |
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裁判所から手続き開始決定 |
ポイント |
ケースによっては決定の審尋(裁判所からの呼び出し)がなされる事があります。 |
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免責の審尋 |
ポイント |
裁判所からの呼び出しの事です。全く問題のない方ですと審尋がない事もあります。 |
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裁判所から免責許可の決定 |
ポイント |
決定から2週間後に官報の掲載され、確定します。 |
自己破産の必要書類。
※一般的な書類についてご説明します。具体的な事情により書類に変動があります。
1
破産申し立て前、3カ月以内に取得した戸籍謄本
2
破産申し立て前、3カ月以内に取得した住民票
*世帯全員の記載があり本籍と続柄に省略のない事
*住民票上の住所と現在お住まいの場所が異なる場合は賃貸借契約書や居住証明書が必要です
3
預金通帳の表紙部分と裏表紙と過去1年分のコピー
*お持ちの銀行口座全てについて提出頂きます。
*定期の取引がなくても定期預金の部分もコピーして下さい。
*一括記帳となってしまっている場合は銀行からその期間の取引明細書を出してもらって下さい
4
保険の解約返戻金が見込める場合
破産申し立て前、3カ月以内に取得した保険証券もしくは契約書と解約返戻金(見込)額証明書
5
勤続5年以上の場合は退職金(見込)額証明書
*申し立て前2年間に退職金を受給している場合も必要です
*退職金(見込)額証明書がない場合は退職金支給規定と計算書
6
不動産をお持ちの場合は不動産登記簿謄本、固定資産評価証明書。
*配偶者や同居親子が所有の場合もご提出下さい。
*過去2年以内に所有されていた場合は上記の書面並びに処分した際の契約書や使途に関する領収書も必要です
7
車をお持ちの場合は車検証。車検証がない場合は登録事項証明書
*普通自動車で初年度登録から7年以内、軽自動車や商用自動車は5年以内であれば2業者程度の査定書。
8
直近2年分の所得証明書
*源泉徴収票。ない場合は市区町村長発行の基礎控除、保険料控除等の記載もある課税証明書
*配偶者がいる場合は配偶者のものも必要です
*所得がない場合でも課税証明書は必要です。
9
破産申し立て、直近2ヶ月の給与明細書
*配偶者も給与取得者である場合は配偶者のものも必要です。
10
生活保護、公的年金、失業保険を受けている場合はそれらの受給証明書
*配偶者も受給がある場合は提出頂きます。
11
現在、病気療養中や破産の原因に病気も考えられる場合は診断書
公務員や大手企業にお勤めの方が自己破産をする場合の問題点
当事務所は公務員や大手企業の方が破産、個人再生、任意整理も多く取り扱っています。
その際に検討しなければいけない問題点を挙げます。
問題点1. 欠格事由
国家公務員法・地方公務員法において自己破産が欠格事由に挙げられてはいません。
つまり「破産をすると公務員をやめなければいけない」と法律上は定められていません。
但し、公正取引委員、人事官、公安委員など特殊な役職の場合は自己破産が欠格事由となります。
問題点2. 公務員共済組合からの借り入れ
よくあるケースとして公務員共済組合からお金を借りている場合は自己破産をすると職場に知られてしまい、事実上、職場に居難くなることはあるかもしれませんが、これをもってしても公務員をやめなければいけないということにはつながりません。
なお、自己破産はすべての債権者が対象となってしまいますが、任意整理であれば共済組合だけを除外して手続をすることができます。
問題点3.退職金の取り扱い
公務員の方でもう一つ問題があるのは退職金の取り扱いです。公務員で長年勤務されている方は退職金が相当の金額にのぼります。
一番簡易な自己破産は同時破産廃止と呼び、財産がないので管財人を選任させずに破産手続きが終了する形式です。この場合は費用の負担は軽いです。個人の方の自己破産は多くは同時破産廃止です。しかし、退職金の見込み額が一定額以上になると、管財人を選任する自己破産の形式となります。公務員を退職する必要はありません。
この場合は管財人を選任する費用として裁判所に予め納めなければいけないので簡易な自己破産である同時破産廃止の形式と比べて金銭的な負担が桁違いに大きいです。
同時破産廃止の実費がおよそ1万5千円であるのに対し、管財人の選任が必要な事案になると数十万円が必要です。一般的に自己破産を申し立てる場合の司法書士や弁護士への報酬も同時破産廃止よりも管財人の選任が必要な事案の方が高くなります。
また、債権者への分配に充てる為、事案により異なりますが、退職金の見込み額の8分の1〜4分の1程度を積み立てしなければいけません。退職金が高額になりがちな公務員や大手企業のサラリーマンにとっては負担が重くなります。
《公務員の退職金見込み額証明書》
退職金見込み額証明書を裁判所に提出する必要があります。お勤めを継続されたい場合に退職金見込み額証明書をお勤めの役所や企業に発行を求めるのは心理的に困難が伴う事は理解しています。その場合、算定根拠と算出結果を裁判所に提出すれば足ります。
国家公務員であれば国家公務員退職手当法や地方公務員であれば各自治体の退職手当条例等を根拠に算出できますので職場に退職金証明書を発行を求めることは必要ありません。企業の場合も退職金証明書は必要ありませんが、算出の根拠となる、退職金規定などをご提出いただく必要があります。
《自己破産以外の手段》
任意整理
一番に負担が軽いのは先に述べたとおり、任意整理です。
共済組合など本人にとって都合の悪い債権者を除外できます。
任意整理は裁判所に申し立てるということがないので、自己破産と異なり、管財人の費用もありません。
退職金を積み立てるという必要ももちろんありません。
18%を超える金利で長期間取引している消費者金融や信販会社があれば大幅な債務の減額や過払い金の発生も見込めます。しかし、公務員や大手企業の方の特徴として銀行のローンや18%以下の金利で多額の借り入れをしているケースが多いです。貸す方も公務員や大手企業ということを見ているのでより多くの貸付を行う結果、任意整理での解決が困難な状況の方もいらっしゃいます。
個人再生
個人再生の特徴として無担保債権を大幅に圧縮でき、それを3年程度で分割で支払う事が可能ですが、自己破産のように全額の免除は得られません。
自己破産と同様なのはすべての債権者を裁判所に申告する必要があります。
よって、公務員共済なども除外できません。
退職金が多い場合に個人再生を選択すると、その8分の1〜4分の1程度を上乗せして「分割」で支払うことになります。自己破産と異なり退職金の一部を積立ではないので、積立のめどが立たない方は個人再生を検討する余地もあるといえるでしょう。また、管財人の選任も必要はありませんので手続きも管財人事案ほど複雑化せず自己破産よりも本人の心理的負担も軽いと言えます。(個人再生委員が選任される裁判所がありますが自己破産の場合に管財人を選任されるよりも金銭的負担は軽いです。)
但し、個人再生は圧縮した借金の一部を3年や5年の分割で支払うことが可能とはいえ、退職金が多い場合はその8分の1〜4分の1程度の上乗せも必要なので、それなりの返済総額となってしまいます。つまり、返済総額が膨らめば分割の1回あたりの返済額も膨らみますので、退職金が相当に高額な場合は分割の返済でも仕切れない恐れがあります。
公務員や大企業などにお勤めの方はあくまでも自己破産だけはしたくないという方も多いです。通常は3年、最大で5年の分割で支払える計画が立てられる方に関しては個人再生も検討の余地があるといえるでしょう。これが無理であればご親族から借金の穴埋めのための多額の援助でもない限り、自己破産は避けるのは非常に困難だと思います。
福祉医療機構の年金担保と自己破産の問題
「自己破産と年金担保融資」について簡単に解説します。基本的に「年金担保」は禁じられています。但し、例外的に許されている公的団体があります。
「独立行政法人福祉医療機構」の年金担保融資が該当します。独立行政法人福祉医療機構の年金担保融資は自己破産をしても、年金からの天引きがなされ、別除権に準じた取扱いとなります。
よって、公的年金担保融資だけでは、自己破産をする意味が事実上無いと言えます。
自己破産のQ&A
一般的な質問
Q 同時破産廃止とはなんですか?
A 簡単に言うと財産が少なくて管財人を選任するまでもないと言う事です。管財人を選任しなくてもよいので費用も低廉で手続きも簡略化されています。個人破産の場合、ほとんどは同時破産廃止です。ちなみに我々は略して同廃と呼んでいます。同廃となるかどうかは裁判所により運用が異なります。
Q 破産すると今まで通りの生活が送れなくなるイメージがありますが・・・・
A ケースバイケースですが借金がなくなるだけで生活は何も変わらない方もいます。不動産をお持ちの方は手放すことになるでしょう。。自動車もローンがなければ普通自動車であれば7年、軽自動車であれば5年が経過していればそのまま保有が許される事がほとんどです。家財道具もそのままです。詳細はあなたがどのような財産をお持ちかと言う事にもよりますのでご相談下さい。
Q 実費はどの位ですか?
A 同時破産廃止の場合、実費の分類としては予納金、印紙、郵便切手があります。管財人が付される場合などは予納金は大きくなります。管材人が付されるか否かは裁判所の運用により異なります。これらは実費ですので司法書士や弁護士費用は別に必要です。手続きを検討されている方は分割支払いにも応じますのでご相談下さい。
Q 破産のデメリットはなんでしょうか?
A 破産決定後、免責までは一定の職業の資格を失います。免責となれば復権となり制限はなくなります。
信用情報機関に登録されて一定期間は借入が困難となります。
選挙権や被選挙権には影響ありません。戸籍や住民票にも記載はされません。
Q 司法書士や弁護士に依頼をしたら書類の収集も全てお任せできますか?
A 書類の収集はほぼ本人で行っていただく必要があります。司法書士や弁護士の職権で全ての書類の収集をすることはできません。
一般的に司法書士や弁護士が依頼をお受けした後、辞任するケースで多い理由の一つに、依頼人が書類の収集を迅速に行わないことがあります。。いずれにご依頼されるとしても、書類の収集をちゃんとしないと信頼関係が無くなります。ご自身の事ですので積極的に協力してください。
Q 配偶者に知られずに破産は出来ますか?
A 書類の提出に際して配偶者にも協力を求める事はありますので同居家族に知られずに破産は難しいです。配偶者や同居の家族の理解を得たうえでご依頼下さい。当事務所は知られる、知られないに関わらず破産のご依頼の場合、同居家族の理解がなければお受けできません。
Q 勤務先に知られずに破産は出来ますか?
A 基本的には可能です。なぜなら勤務先が常に官報などをチェックしていない限り分かりようがないからです。官報をとっている職場職場なんて聞いた事ありません。必ず知られるのは勤務先からお金を借りている場合です。債権者として勤務先を記載しなくてはいけないのでその場合は裁判所から通知がなされます。
Q 家賃を滞納しています。滞納している家賃はどうなりますか?
A 大家さんを債権者として裁判所に届け出します。滞納家賃の支払いからは逃れられますが、その借家からは出ていかなければいけないかは大家さんと話し合って下さい。そういう事態を防ぐためには家賃の支払いは怠らない事です。破産後に「自発的に」滞納した家賃も支払う事は許されますのでそれを説明して誠意をもって対応すれば理解頂けるかもしれません。
Q マンションの管理費を滞納していますがどうなりますか?
A 破産決定以前の管理費は免責されます。破産決定以後の管理費は支払う必要があります。マンション自体はオーバーローンであれば任意売却か競売となります。
Q 破産すると住んでいる不動産が競売されるそうですがすぐに出ていかないといけないですか?
A 任意売却をしないと競売となりますが、破産の方針を打ち出しただけですぐ出ていかなければいけけないという訳ではありません。
売れなければ相当長く住んでいられますし、売れても長引かせようと思えば強制執行の間際まで住んでいられます。
Q 私の妻が保証人となっています。私が破産すれば妻も債務から逃れられますか?
A あなたが破産しただけでは逃れられません。免責の効果は保証人に及びませんので保証人である奥さんに請求が行きます。
Q 市県民税や所得税、自動車税など税金も多額に滞納しています。破産すればこれらも支払わなくてよくなるのでしょうか?
A 税金は自己破産をしても免除されません。役所や税務署などに支払い方法をご相談頂き、支払っていくしかありません。
よくある事例なのですが支払えないからと税金の督促を無視している方が多いです。無視していると差し押さえがされます。給与などを差し押さえられてから「どうにかならないか」などのご相談もありますが差し押さえられてしまえばなんともなりませんのでキチンと話し合って支払って下さい。
財産について
Q 破産をすると家財道具はどうなるのでしょうか?
A 非常に高価な品があれば別ですが基本的にそのまま所有出来ます。身の回りの物はほとんどの場合そのままです。
Q 破産をした場合、所有している車は没収されてしまうのでしょうか?
A 日本車の場合、普通自動車で初年度登録から7年以内、軽自動車は5年以内であれば無価値と判断され、そのまま所有できる事があります。初年度登録からの年数については裁判所により運用が異なります。ローンが残っている場合はローン会社が車を引き上げてしまう事が多いです。
Q 給与の振込先の銀行からフリーローンを借りています。何か問題はありますか?
A 債権者は全て裁判所に申告をしますので、その銀行預金口座は凍結されます。この場合は必ず、給与の振込先を別の金融機関にしてください。なお、お金を借りていない銀行の預金口座が凍結されることはありません。
Q 退職金はどうなりますか?
A 退職を実際にしなくても将来の退職金の見込み額が8分の1が20万を下回れば影響はありません。近い将来に退職が見込まれる場合や現に退職している場合は4分の1が20万円を下回れば影響はありません。金額の多寡によらず退職金がある場合はその旨をご依頼の司法書士や弁護士に告げて指示を仰いで下さい。勘違いされる方がいますが退職しなければいけないわけではありません。
Q 生命保険の解約返戻金はどうなりますか?
A 解約返戻金が20万を下回ればであれば影響はないかと思われます。
ただし、少額でも解約返戻金がある場合、その旨を必ず依頼する司法書士弁護士に伝えて下さい。
Q 学資保険はどうなりますか?
A 返戻金が20万以内であれば影響はないかと思います。
子供も名義であっても実質は親が支払いをしており、考慮する必要がありますのでご依頼の司法書士や弁護士に申告下さい。
Q バブルの時に購入した不動産を所有していますが価値が下落しています。破産した場合どのようになりますか?
A 裁判所により基準が異なりますが、一般的には被担保債権が固定資産評価額の1.5倍超である事をオーバーローンと呼びます。オーバーローンの場合は破産申し立て前に任意売却をするか保有したまま破産申し立てをして競売となるかが多いです。不動産の処分については自分だけの判断をせずに必ずご依頼の司法書士や弁護士の指示を仰いで下さい。
免責不許可事由
Q パチンコをし過ぎて債務が膨らみ支払えなくなりました。破産は出来ますか?
A 認められるか否かはパチンコの程度問題ですが、明らかに浪費ですね。全体に占める浪費の割合が大きくなかったり当初の原因として浪費があっただけであれば破産は認められる可能性が高いです。債務の大部分がパチンコの浪費で借りてからも時間が短い場合は破産は認められない可能性はあります。その場合は個人再生をご検討下さい。
Q 親からも多額の借金をしています。破産の前に親にだけはお金を返したいのですがダメでしょうか?
A ダメです。特定の債権者に特別の利益を与える行為で偏った返済の偏頗弁済(へんぱ弁済)と言います。
破産が認められなくなりますよ
Q 破産をする前に不動産やその他の財産を他の者の名義に移そうと考えています。上手くやってくれませんか?
A やるわけないでしょ(怒)。詐欺破産罪となります。稀にですがこのような不謹慎なことを言う方がいます。
被免責債権
Q 悪質な飲酒運転運転により人身事故を引き起こしてしまい、遺族から損害賠償を請求されています。金額が大きすぎて支払えませんので破産したいです。
A 破産者が故意または重大な過失によって加えた人の生命、身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権は免責となりません。あな たが負っている債権は非免責債権(破産しても免除されない債務)となる可能性があります。
Q 私の元夫が破産するようです。養育費を滞納されています。元夫はそれも払わなくていいようになってしまうのですか?
A 養育費は非免責債権(破産しても免除されない債務)ですから滞納分や今後の養育費も破産で免除と言う事にはなりません。ちなみに夫婦間の協力扶助の義務、婚姻費用分担、子の監護に関する義務、親族間の扶養義務などについても同様です。
復権
Q 2年前に先生にお世話になりました。旅行業務取扱主任になろうと思うのですが、破産者はなれないと聞きました。
A あなたは免責許可の決定が確定しており復権しています。復権というのは権利や資格について制限を解き、法的地位を回復させるという事です。真面目に将来を考えているようですね。嬉しいです。頑張って下さい。
再度の免責
Q 実は私は3年前に破産をしました。また債務が増えてしまい支払えません。また破産は出来ますか?
A 出来ません。あなたを不用意に責めることありませんが、残念ながら前の破産(免責許可決定確定日)から7年を経過しないといけません。
個人自営業者の破産
Q 私は個人自営業者ですが会社員の方と違って問題はありますか?
A 自営業者の場合は規模によって大きく異なります。一人親方のような従業員がいない、もしくは家族だけが従業員の場合で什器だけで在庫がないもしくは価値が無い場合は会社員と同様に同時破産廃止といって最低限のコストで破産が出来ることがあります。
規模のある程度ある自営業者の場合は会社と同じように同時破産廃止が認められず管財人が付く事が多いです。同時破産廃止か管材人事案かではコストが全く異なります。管財人が付く場合はその費用を数十万単位で裁判所に納めなければなりませんし、申し立てを依頼する司法書士や弁護士の報酬も通常より多くなります。
会社代表者の自己破産
Q 会社は破産させずに会社経営者だけ自己破産はできますか?
A 会社経営者が自己破産する場合、会社に関連した負債が原因であれば、社長個人だけではなく、会社も自己破産をするように裁判所から促されます。会社の負債の連帯保証人に社長個人もなっていることが多いので会社と一蓮托生ということになります。会社と個人は別人格といえばそうですが、社長個人だけの自己破産をするだけでは、会社は多額の負債を抱えたまま放置の状態となってしまう為の措置です。
会社が絡むとまず管財人が選任されますが、ネックになるのは予納金です。管財人には弁護士が選任されます。裁判所が管財人を選任するといっても国が費用を負担するわけではありません。自己破産をする方が管財人の報酬を予納金という形で裁判所に納めるのです。事案によってかなりの幅があります。少額管財といって通常の管財よりも低い予納金が設定されることもありますが概ね20万円からです。
法人や経営者の自己破産の場合、司法書士よりも弁護士に依頼することをお勧めしています。理由としては、司法書士は管財人となった経験がありませんので法人破産の実務に慣れておらず、このような管財人が選任される法人事案の場合は申立についても弁護士に依頼をした方がよいと考えるからです。