秋期懇親山行 大 鼠 山 (1584.7m 三等三角点)
聞くところによると、十二支会という会がありその年の干支のつく名前の山を年の初めに登られているらしい。今年は鼠年。鼠のつく山で一番高いのが飛騨市神岡町山の村にある大鼠山である。ところが山の村は岐阜県で最奥の地、飛騨でも一番の豪雪地帯で、とても年の初めに登れる山ではない。ということで、十二支会では未だ登られていない。
大鼠山へは山の村岩井谷より登山道があるが、近年北の俣林道が整備され、林道終点(標高約1500m)より簡単に登ることが出来るようになった。又、この辺りには深洞湿原
(ふかどしつげん)があり、ブナ林の中6月にはミズバショウやリュウキンカ等沢山の花が咲く。湿原には周回する遊歩道も整備されているが、林道は施錠されており貴重な自然林として保護されている。
今回初めてリーダーの大役を課せられ、しかも懇親山行だから一泊で懇親会も企画せよとのことである。しかし山の村には昨年まで旅館が1軒あったが、今年は廃業されている。残るは数棟のコテージやバンガローのある山の村キャンプ場だけで、早速9人用のコテージを2棟予約し、料理は手作りということにした。今回の参加者は13名。やや狭いが1棟のコテージに全員が集まり懇親会となる。飛騨牛に加えこの時期この辺りで採れるきのこを購入し、豪勢なすき焼きや、きのこ汁で賑やかに歌も出て、楽しい酒宴が夜遅くまで続いた。
しかし、夜半に雨の音で目が覚める。この1週間、台風13号がゆっくり北上しており今日の日を心配していたが、昨日太平洋沿岸を通過してしまった。当然台風一過の晴天だと思っていたのに、どうしたことか! 朝になっても雨足は強まったり弱まったりするが止む気配はない。そこで予定を30分遅らせて、9時頃出発とした。
北の俣林道の入り口には鍵がかかっているので車では入れない、山吹峠の方へ2、3分走り、牛の遊ぶ牧場の切れたところが林道の入り口である。林道を通り駐車場の有る所から左側の登山道に入る。雨に濡れたうっとうしい灌木が容赦なく全身を撫でる。この辺りは緩やかな斜面で、立木を避けた曲がりくねった細い登山道に沿って20分も歩くと主稜線にでる。そこには山の三角点があり、辺りの林床には絨毯を敷き詰めたようにマイズルソウがあり、その中にツバメオモトの青い実が雨に濡れ一際美しく輝いていた。 ここを左に折れ、5分ほど行くと大鼠山の頂上。最後部の人を15分ほど待ち、全員が揃ったところで記念写真を撮り、早々に下山する。山頂は狭く当然展望はないが、天気の良い日でも大きな樹林の中で展望は利かない感じである。
駐車場に戻っても雨の中で食事もままならず各自適当に済ませる。午後にインタープリターの影山さんに深洞湿原の案内をお願いしてあるので、待つこと1時間。約束どおり12時に影山さんが到着し、早速深洞湿原を案内してもらう。(深洞湿原は飛騨市の3大湿原の一つ)
大鼠山と反対側へ少し下り気味に整備された遊歩道を案内を聞きながら進む。大鼠山と植生が違い、ブナや針葉樹の大木が茂る森に驚かされる。大木の二俣よりシャクナゲが大きく伸びている。途中立派な木道が敷かれ湿地帯の中ではあるが歩き易い。暫く行くと沢に出る。雨のせいかやや水量が多いようで、その中を大和イワナが悠然と泳いでいた。
(禁猟区の為見るだけ)また沢の淵にはミズバショウの枯れた葉が無数に広がっていた。更に進むと広い見下ろすような場所に出る。6月には一面にミズバショウやリュウキンカが咲き乱れるのが、一望できるところだが今日は跡形も無い。木道に沿って1時間のコースであるが今回は丁寧な案内で2時間の深洞湿原の散策であった。
影山さんの説明によると「大鼠山」の名前の由来は大きなネズコの木が多かった為ではないかとの事。此処は国有林で地元の請願が実りそのまま残すことになったと話してくれた。この素晴らしいし自然林を何時までも残して欲しいと誰しも願うことだろう。
山の村の「夕顔の道の駅」に戻り村自慢の蕎麦を頂き解散した。皆さんのご協力のお陰で懇親山行が楽しく有意義に行われれ、天気には恵まれなかったけれど山行も無事終了した事に感謝します。
[縄田さかゑ 記]
[日 時] 平成20年9月20日(土)、21日(日)
[場 所] 岐阜県飛騨市神岡町森茂(山の村)
[参加者] 13名
[タイム]
20日 山の村キャンプ場、集合16:00(コテージ泊)
21日 キャンプ場8:45=(北の俣林道)=車止め9:30〜9:40−大鼠山10:10
〜10:18−車止め10:48〜12:00−(深洞湿原散策)−車止め13:50〜
13:58ー夕顔の道の駅14:27〜15:00(解散)
[地 図] 1/20万;高山 1/5万;有峰湖 1/2.5万;下之本
|
|
大鼠山頂上にて |
深洞湿原の木道を行く一行(先頭は影山インタープリター) |
|
写真・中島眞一
|