「おせち」をつくりました
文献によれば、おせち料理の始まりは、中国から「節」と言われる季節の変わり目とする「暦」
がもたらされ「節」ごとに豊作を感謝して神様にお供え物をした「節供」に由来しているそう
です。五節句のうち新年を迎える最も重要な「人日(じんじつ)の節句=1月7日」の料理が、
正月料理として定着しました。
山や海の幸がおせち料理に取り入れられるようになり、江戸時代後期になると、現代のように
料理一つひとつに意味が込められ、新年を祝うために食べるものとなりました。
例えば、
黒豆 邪気を払い、勤勉に働くことや健康で丈夫に過ごせることを願う。
数の子 ニシンの卵である数の子は数が多いことから子孫繁栄を願う。
田作り 片口イワシを撒いて豊作となった田畑があったことから、五穀豊穣を願う。
紅白かまぼこ 半月かまぼこは日の出を表す。赤は慶び、白は神聖の意味を持つ。
昆布巻 「喜ぶ」にかけて縁起をかつぎ、健康長寿を願う。
伊達巻 しゃれた身なりの伊達者にカステラかまぼこが似ていたことに由来。
書が巻物にされていたことから、知識が増えることを願う。
栗きんとん 黄金色をしていることから財宝にたとえられ、金運を呼ぶ。
煮しめ 土の中で根を張る根菜が中心で、末永い幸せを願う。
「おせち」と呼ばれるようになったのは、第二次世界大戦後のことのようです。それまで、おせち
は「食積(くいつみ)」、あるいは、「蓬莱」と呼ばれていたそうです。
「おせち」が重箱に詰められるようになった理由は諸説あり、一つは「箱を重ねる=めでたさを
重ねる」という意味によるもの、また、重箱に詰めることで場所をとらない、重箱に入れておく
と お客様に振る舞いやすいといった理由もあるようです。
現代ではおせち料理は伝統的なものだけではなく、洋風や中華風、和様折衷の料理が盛り込まれ
るなど、バラエティ豊かなものになってきていますね。
令和2年は大変な一年でした。
日本だけではなく、世界中が新型コロナウイルスの感染に脅え、苦しみ、そして沢山の方が亡く
なりました。外出、外食が当たり前だった日常が制限され、自由な生活の「ありがたみ」を教え
られる機会にもなりました。
お医者様をはじめ、医療従事者の皆さまには年末年始はないことでしょう。なかなか出口が見え
て来ない中、大変申し訳なく、とてもありがたいことです。
飲食業界に身を置く私どもにとっても、いろいろと考えさせられる一年でした。
今年も「うを義」を支えてくださったお客様へ感謝しつつ、ひとつひとつの御料理に心を込めて
「三段重のおせち」をつくりました。
よろしかったら、ご賞味ください。
来年は、どうか良い年になりますように。 店主 拝